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渡辺 宏; 青木 章平; 佐藤 友太郎*
日本食品工業学会誌, 24(2), p.59 - 64, 1977/02
電子線エネルギーやビーム電流、および照射前後の加熱処理などが果皮の褐度化や殺菌効果に及ぼす影響について調べ、カビや褐度の発生を抑えて温州ミカンを貯蔵するための条件を検討した。果皮の褐度化は電子線エネルギーが低いほど少なく、0.2MeVでは非照射と変わらなかった。前報での線量測定の結果から、果皮の褐度化は果皮だけに吸収された線量に依存し、果実全体に吸収された線量には依存しないことを明らかとした。また殺菌効果は0.5MeVで最も大きく、エネルギーが高くなるにつれて逆にカビの発生率は増加した。ビーム電流を変えて間接的に線量率効果を調べた結果、褐度発生には影響がみられないが、殺菌効果は電流が大きいほど、大きくなった。照射前後の加熱処理は無処理の場合よりも褐度やカビの発生を増加させた。したがってカビや褐度を抑えて貯蔵するには、比較的大きなビーム電流で0.5MeVで照射することが望ましく、また照射前後のミカンの品温を一定にする必要があると思われる。
渡辺 宏; 橘 宏行; 青木 章平; 佐藤 友太郎*
日本食品工業学会誌, 24(1), p.31 - 36, 1977/01
電子線照射による殺菌効果やミカンの生理的変化を理解するための基礎として、照射したミカン表面の線量分布をCTAを用いて測定し、さらにミカン表面を均一に照射するための条件について検討した。電子線のエネルギーが高い程、ミカン赤道の線量は増加した。これは反転することにより両面から同線量照射したためであるが、0.5MeV以下のエネルギーではこの線量増加はみられなかった。表面線量分布に与える散乱線の影響は0.2MeVで照射した場合に観察されたが散乱線の寄与はあまり大きくなく、線量均一性に最も大きく影響する要因は、電子線のミカンへの入射角度であった。コンベア上の照射領域全体を考えると、試料全体の線量均一性は、空間線量分布と電子線の入射角度によって最も影響された。これらの結果を含め、ミカンを大量に照射する場合の線量均一性に関係する諸条件について考察した。
渡辺 宏; 青木 章平; 佐藤 友太郎*
日本食品工業学会誌, 23(7), p.300 - 305, 1976/07
温州ミカンの放射線殺菌のための線質を選定する目的で、線および電子線で照射したミカンの風味の変化と、線照射したミカンの貯蔵性について検討した。線で50krad照射したミカンは照射直後にoff-flavorを生じるが、4C7日間貯蔵すれば、非照射試料との間で有意差は認められなかった。また200krad照射しても貯蔵中にoff-fravorが減少する傾向がみられた。電子線では逆に甘味が増し、非照射よりも高い評価を与えた。カビの発生を抑制できる線量は200kradであり、3C貯蔵で3ヶ月間はカビの発生はみられない。しかし低温貯蔵中でも照射によって表皮の褐変発生率は増加し、線量に依存した。低温貯蔵後室温に移すと200krad線照射したミカンではカビや褐変の発生が増加し、さらに組織の軟化や萎縮が著しく、食用に絶えない程品質が劣化した。低温貯蔵後の室温貯蔵中での著しい品質の低下と、低温貯蔵中での褐変の発生を考えると、温州ミカンの殺菌には線照射は適用できない。
渡辺 宏; 青木 章平; 佐藤 友太郎*
食品照射, 11(1-2), p.39 - 45, 1976/02
0.2~1.5MeVの範囲で電子線エネルギーを変化させ、エネルギーと褐度発生との相関、ならびに各エネルギーでのカビ抑制効果について検討した。ミカン表面を200krad照射し、3Cで3ヶ月間貯蔵すると、褐度発生率は0.2MeVでは非照射と同じで10%であったが、0.5MeVでは非照射の1.4倍、0.9MeVでは1.8倍、1.5MeVでは2.7倍となり、エネルギーが高くなるほど褐度発生率は増加した。カビ発生の抑制効果は0.2MeVでも幾分認められるが、0.5MeVが最も効果が大きく、0.9MeVや1.5MeV逆に低下した。一般市場への移送を考慮し、照射後3Cに3か月貯蔵した試料をさらに、16~25C室温で1週間貯蔵した場合のカビと褐度の発生率をしらべた結果、0.5MeV照射区でカビや褐度の発生が最も少なく、0.2MeV、0.9MeV、1.5MeVではカビの発生が著しかった。また線量率効果はみられず、照射前後の加熱処理(52C、5分)はカビの発生と褐度の発生を増加させた。電子線の透過性と殺菌効果について考察した。